GTという言葉、文字をご存じですか? 車の名前の後に付いていますね。
車好きの人には魅力的な文字です。日本で一番初めに有名になったGTはプリンス スカイライン 2000GTです。後に日産に吸収されて日産スカイラインとなりますが、1964年5月鈴鹿サーキットで開かれた第2回日本グランプリに出場しポルシェ904・GTSと互角に戦い日本中の若者を喜びと感動で興奮させた車です。当時の日本車はヨーロッパやアメリカの車にはとても追いつかない貧弱なイメージで、世界の中では二流か三流の車と思われていました。その日本車が世界中の若者の憧れともいえるポルシェと互角に渡り合ったというのは日本だけではなく世界の中でも驚異的なことで、日本の若者の自動車ブームに火をつけた出来事でもありました。
その後トヨタ2000GT、いすゞベレットGTなどなど続々とGTが出てきます。
さてGTの本当の意味は何でしょう。
GTの意味はGrand Touring Car=イタリア語でGran Turismo、ヨーロッパ大陸をゆとりをもって高速で走り回るという構想で造られた車です。イタリアが発祥の言葉でイギリスやドイツの車にはあまり使われていませんでした。
マセラッティ3500GT、ランチア アウレリアGTなどが有名ですが僕の憧れのフェラーリ250・GTOもレースでGTクラスのホモロゲーションを取るために作られた、GT Homologateからつけられた名前です。そういえば三菱ギャランGTOもありましたね。ちょっと意味を取り違えていますけど早そうな感じの名前です。
スカイライン2000GTはその後も高度成長の波にも乗って成長を続け高性能版GTRを発売し若者の憧れの車となりました。日本車には珍しく一人の設計主任 桜井慎一郎氏のデザインで貫かれた車でもあり、丸型のテールランプはその後もトレードマークとして長く残りました。1963年に第1回日本グランプリで、自動車文明に仲間入りした日本の車メーカーですが、最初はヨーロッパ車に全く歯が立たずレースでは大恥をかきました。しかし勤勉な日本人の誇りと情熱はその後10年も経たずに世界のトップ自動車生産国にのし上がってゆきました。ダットサンブルーバード3Sやフェアレディー240ZのEast African Safari Rallyでの総合優勝で世界中にその性能と耐久性を知らしめ、自動車大国のアメリカでも輸入車のNO1にのし上がってゆきました。
振り返って考えてみると、1964年のスカイライン2000GTは日本人の誇りと情熱を呼び覚まし、戦後の復興の原動力となった記念すべき車と言えると思います。